2020/1/8 ロシア旅行記

日本に帰国。

一日跨いでついに日本に到着。羽田空港。着陸前にアンケートを渡された。帰国後の滞在先などを記入する必要がある。その上でコロナの検査を受ける必要がある。
プレミアムエコノミーの為、早く降りることができた。でも早く降りてもしょうがない。通路を抜けるとCOVID-19 Testing検査場というバーがありそこに向かって歩いて行った。アンケート用紙を渡し、いくつかチェックポイントを抜け検査会場にたどり着いた。日本出国前に受けたテストと同じである。ビーカーみたいなものに一定量の唾液を採取する。例のごとくレモンと梅干の写真があった。外国人が梅干の写真を見たらどう感じるのか不思議に思った。採取が終わり検査官に渡す。そうすると次のチェックポイントに移動である。そこではまた係員がおり、帰国前に滞在国、日本に帰国後の滞在先の詳細、滞在先までの移動はどうするか、など様々聞かれた。帰国後の動向を厳重に追う必要があるのだろう。ある意味でVIPなのだと思わさせる。帰国しても完全な自由は無い。

取り調べのようなものが終わり、検査結果を待つことになった。番号札を渡された。結果が出れば電光掲示板に番号が表示される。1時間ほどかかるとの話だったが、30分ほどで結果が出た。陽性の結果を渡される。そう思っていた。ただ、結果はなんと陰性だった。はっきりと結果表に(-)と記入されていた。夢かと思った。陰性だった。コロナではなかった。手と足と声が震えていたと思う。思わず係員に「ありがとうございますっ!」と言ってしまった。コロナではなかった。一気に肩の荷が下りた。救われた。神に赦された気持ちというのはこういう感情なのかと思う。赦されたのだ。
それからのことはあまり覚えていない、検疫用のバスでホテルに移動した。部屋は狭かったがかまわなかった。帰国できたのだ。ふつふつとその喜びが芽生えてきた。ちゃんと元気に帰ってこれたのだ。約束通り、しっかりと計画通り帰ってくるが出来た。自分で決めたこと、責任を持って成し遂げることができた。胸を張ってみんなにそれを報告できる。

ただ、引き続き鼻は悪い。コロナではなかったがこれが何なのか非常に気になるところではある。ただ、薬局で点鼻薬を買って打つと嗅覚が戻ってきた。恐らくは、鼻炎だったのだろう。最悪のタイミングで鼻炎が悪化したのだ。もうなんだか、自分は逆に恵まれていると思う。最後の最後まで、ハプニングの連続だった。ただでは済まない。そんなことばかりである。非常に、非常に有意義で充実して困難で素晴らしい旅だった。大きく成長した。こんな旅は毎回あるものではない。きっとまたロシアに行きたくなっているだろう。また困難が待ち受けていても乗り越えていける、そんな自信がある。とりあえず沖縄に帰ったらはやめに耳鼻科に行こうと思う。


2020/1/7 ロシア旅行記

今朝の体温は36.5

ロシア滞在13日目

帰国日である。結果的にロシアは変異種の声明を出していないので帰国自体は問題なくできそうではある。嬉しがるべきだが、それよりも大きな心配・不安がある。次から次へと不安が生まれてくる。ずっと追われている。精神がきつい。
飛行機のチェックインの際、係員と非常にもめた。もめたというよりは日本人がロシア⇒日本に今帰国出来るのかという情報を一から調べてくれていてそれに時間がかかっているようだった。世界情勢が刻々と変化し続けている影響をダイレクトに受けている。そういうことがまた自分の精神に来る。いわばコロナ禍における最前線の影響を受けている。とりあえずチェックインが出来たので一安心だった。
ただ、自分がコロナだと半ば自覚している中で帰国しようとしているのは非常に後ろめたいようなそんな心持であった。死刑囚の気分であった。自分は今から裁かれに国に帰るのだ。帰国する人たちはみんなどんな気分なのだろうか。ただ、昨日発見した消毒液の匂いを嗅ぐと嗅覚が戻るのである。これが不思議なことなのである。これを嗅ぐたびに自分がコロナではない、とも思う。これが今の自分にとって唯一の武器そして心のよりどころである。こいつを日本に一緒に持っていくことにした。

飛行機に乗り込む。まずはサンクトペテルブルク⇒モスクワへ。1時間ほどのフライトである。のんびり過ごした。そしてモスクワに着いて5時間ほど過ごす。非常に長い時間である。
東京行きの飛行機に乗る際にまずバスで飛行機に移動するが10人ほどしかいなかった。そして日本人は誰もいなかった。アジア人がまずいなかった。それなのにロシア人がいるのが非常に不思議だった。今日本は外国人の入国を全面禁止しているはずである。ビジネス往来も含めて。恐らくこれらの人々は滞在ビザを保持しているのであろう。とても特殊な人々と便を共にしているのだと思い何だか少々誇らしいような気持になった。
便に乗り込む。プレミアムエコノミー席であるが周りには誰もいなかった。自分以外は全員エコノミークラスだろう。さようならロシア。ようやく日本に帰ることができる。
とてもいろんなことがあった。コロナだけかかって帰っていくのか、そうではないのか、考えるだけ不安が増すだけなので楽しかったことだけ考えている方がいい。実際そうなのである。




2020/1/6 ロシア旅行記

今朝の体温は36.5

ロシア滞在13日目

気分が全然戻らない。嗅覚も戻っていない。ごはんはおいしい。明日は帰国日であるが非常に怖い。帰国後の検査で陽性になるのではないかと思う。何もする気が起きないのでオムライスを作ることにする。玉ねぎをバターで炒めるが匂いがない。出来上がって気休めにケチャップでハートマークを描いた。少しでも何か小さなものから元気を得たい。悟空の気分である。元気玉である。

もしコロナだったら。会社にも必ず体調に気遣って迷惑をかけぬようと約束をしたのに裏切ってしまうことになる。家族にも非常に申し訳ない。特に妹には殺されても文句を言えない。コロナにかかることであらゆる人に迷惑をかけてしまう。一人の身体ではないのだ。心配してくれている人たちの気持ちを押し切ってきたのに結果的にコロナになってしまったとあればもう言い訳も弁解もない。精神的にもう非常にまずいところまで来ている。コロナの大きい症状としてメンタル的な部分もあるだろう。

だが、驚くことが起こった。洗面所に備え付けられてあった手を洗う消毒液?のようなものを香ってみると鼻の中を劈くような匂いが香ってきた。とても確かに匂いを感じた。アルコールが含まれている?ようだったので少々むせたが確かに匂いを感じた。そして、それからなぜか匂いが戻っていたのだ。オムライスの匂いを嗅いだ。ケチャップの匂いがした。窓を開けて外の匂いを嗅いだ。冬のロシアの匂いがした。涙が出そうだった。とても安心した。嗅覚が死んでいるわけではなかった。原理がよくわからないがともかく、コロナにかかっているわけではないような気がしてきてうれしかった。ただ、時間が経つとまた嗅覚が無くなってきたのでその時は落ち込んだ。もう精神が振り回されすぎて非常に落ち込んでいる。明日は帰国である。とりあえずは荷物をまとめることにする。

2020/1/5 ロシア旅行記

今朝の体温は36.4

ロシア滞在11日目

 

朝起きるとすぐコーラとポテチを少し食べた。味覚は消えていない。いつも通りである。本当に怖かったがよかった。ただ嗅覚は変わらず。
気分が落ち込んでいるのでリフレッシュしようとシャワーに入ることにした。だがシャンプーやボディーソープの匂いもしなかったので逆に落ち込んでしまった。嗅覚障害が発生した人たちの声をTwitterで調べていると、何か月も戻らないという人が多くいた。すぐ治る人もいればいまだに戻らないという人。シャワーを浴びているとき、「もしこのまま一生戻らなかったらどうしよう」という気持ちになり非常に恐ろしくなった。匂いというものは非常に大事な器官であり、ランキングを付けるとしたらTOP2くらいである。匂いから得られる情報はとても多い。大好きなあの場所の匂い、大好きな人の匂い、あの思い出の匂い、ふと香る匂いから感動したりすることも多い。それが無くなってしまうのは人生の大事な部分が欠けてしまうように思う。

2020/1/4 ロシア旅行記

今朝の体温は36.5

ロシア滞在10日目

コロナの症状について調べている。熱や咳はほとんどない。体のだるさもない。
嗅覚が鈍いような気がしている。食べ物の匂いがしない。思い切り吸うと鼻の奥でかすかに匂いがある。ただ、ごはんはいつも通り美味しい。そして鼻も詰まっている。元々鼻炎持ちなのでよくわからなくなってきた。
コロナの症状の一部に嗅覚障害はあるがこんなにピンポイントでなるのか気になる。そして完全に匂いを感じないわけではない。部屋が乾燥しているというものある。元々ロシアに来た時に匂いについてどう感じていたかを思い出せない。元々匂いがそんなになかったのだろうか。考えすぎなのだろうか。漠然とした不安がある。

久しぶりに会社の人とリモートで会話をした。みんな心配してくれていた。帰国後は社用PCを滞在先に送ってもらうことになっていたが、もしコロナだった場合滞在先が隔離ホテルになってしまうので迷惑がかかると思い送ってもらうことはナシにしてもらった。これで一応何とか会社への迷惑はやや抑えられる。だが、コロナではないことが1番である。

昼食にビーフシチューを作ろうとしたが、玉ねぎをバターで炒めているときも匂いがしない。牛肉をワインで煮込んでいるときも匂いがしなかった。思い切り吸うと微妙に匂いがある。正直、不安が増してきていた。作るには作ったので食べてみたが美味しかった。味覚は全く問題がない。だが、これが日に日に無くなっていくのではないか、もしくは明日急に無くなるのではないかと思うと急にのどを通らなくなった。





2020/1/3 ロシア旅行記

今朝の体温は36.7

ロシア滞在9日目

東京では感染者が毎日1500付近をマークし続けている。もうなんだか感染者数でどうこうするのにも疲れてしまってきた。国内の人らもそうだろう。もう慣れてしまっているような気がする。まだロシアからは変異種の発表は無い。なんとか、なんとか帰国日までには・・・と願うばかりである。

ロシアのテレビを見ていると沖縄の特集をやっていたのでとてもびっくりした。こんな小さな島を紹介するなんてすごいことである。先月まで当たり前に住んでいたはずなのになんだか懐かしい気持ちがした。早く帰りたい気持ちもあるが帰りたくない気持ちもある。
夕食はボルシチやらステーキやら色々なものを頼んだ。受け取ったがボルシチがこぼれていた。ロシアクオリティである。

ちょっと少しだけ鼻が悪い気がする。匂いが少し鈍い気がする。あまり考えないようにする。ねむる。

2020/1/2 ロシア旅行記

今朝の体温は36.3

ロシア滞在8日目

今日はホテルの移動日。このホテルは非常に良いホテルだった。街並みがとても見渡せて、様々なことを考えるにもってこいの場所だった。また来年も訪れたいと思う。
次のホテルはやや郊外の場所にある。空港に近い方がいいからだ。チェックインを済ませる。ここはキッチンがある。そろそろビーフシチューなんかを作りたい。

昼食としてたこ焼きをデリバリーすることにした。ロシアで唯一のたこ焼き屋さんがある。ここをすごく懇意にしている。完全に家庭でたこ焼き機で作るたこ焼きに近いレベルではあるがロシア人ががんばって作ったと思うと温かみがあるのである。